ベターホームの道具と食品

【連載・わたしのみそ作り】番外編 教えて!地域のみそ~京都白みそ

この連載では、ベターホームの先生・スタッフ計9名の「みそ係」が、自宅でみそを作る様子をご紹介しています。これまでの目次はこちらから→

番外編「教えて!地域のみそ」をお届けしています。今回は京都の白みそについて。京都在住の八ツ橋先生に教えてもらいます。聞き手は事務局スタッフぱせりです。


白みそは好き。でもふだんは・・・

「京都のみそといえば『白みそ』。京料理が紹介される時には、あのまったりした色白の雑煮椀を目にします。実際、京都の人は白みそが好き。でも、白みそばかりを食べているかといえば、そうではないんですよ」

 

「え、そうなんですか!?」

 

 

「京都の人にとって白みそは、ハレの日に食べるもの。ふだんは信州味噌を食べることが多いんです。関西の大型チェーンスーパーをのぞいてみると、売り場の大半を信州みそとおぼしきもので占められています。次に多いのが白みそ。お正月前には売り場の3割ほど。あとは年間を通して、赤だしみそが1、2種類あったり、麦みそも1種ありました。仙台みそはこの店にはなかったのですが、他のスーパーでは3、4種並んでいて、珍しいと思いました」

 

「信州味噌の勢力、強い!」

 

 


お正月のための白みそ

「白みその特徴は、米こうじを多く使うこと。そのため、高級だと言われます。塩の量も少ないので甘く、長持ちしません。我が家では昔から、お正月のために白みそを仕込んでいます。毎年、12月の13日を過ぎた頃から、男衆が白味噌作りに取りかかります(13日を過ぎてから初めて、正月準備を始める風習があります)」

 

「京都ではみんな白みそを手作りするんですか?」

 

 

「家庭で手作りするというのは、実はそれほど聞きません。家庭で作らずとも、確かな老舗も多くありますしね」

 

「確かなお店で買う。それは京都人のイメージ通りでかっこいいです!」

 

 

「長持ちしないという点も、手作りする人が多くない理由の一つだと思います。1月の末にもなるとカビはいわんや、風味が落ちておいしくなくなってしまいます。市販のものは、もっと持ちます」

 


八ツ橋家の白みそ作り

「せっかくなので、八ツ橋家での仕込みの様子を教えてください!」

 

 

「我が家のものがスタンダードではないと思うので『こんなふうに仕込んでいる人もいるんだよ』という気持ちで聞いてください。だいたい1か月位で消費できる量を仕込みます。家族の人数が減ったので、昔の半量くらいにしたようです。材料は、米こうじ、大豆、塩。塩は一部を残しておいて、容器に詰めた上にまぶします。重しはしません。大晦日の頃に開けて天地を返し、三が日で使いそうな分量をすり鉢ですっておきます。ここまで男の仕事です。妻の私はラクで助かりますね」

 

「白みその作り方を調べたら、『大豆の皮をむく』『米こうじはフードプロセッサーかすりばちで細かくする』など、とても大変そうだったのですが・・・」

 

「我が家では皮はむかず仕込んでいます。米こうじも仕込み時に細かくしないで、できあがった時(使う前)にすり鉢ですっています」

 

「おいしい老舗の白みそで迎えるお正月も、手作りの白みそで迎えるのも素敵。どちらもそれぞれのよさがあるなぁと感じます」

 

 


京都白みそを使った料理

「白みそを使った料理の代表格といえばお雑煮。だしは昆布(利尻昆布が好まれます)だけでとり、丸餅、頭芋(かしらいも・里芋の親芋のこと。大きくて椀にどっしり収まります)、小芋、祝い大根(小さくて細長い大根。関西のお雑煮の具の定番です)。糸かつおを天盛りにします。金時にんじんを日の出に見立てて入れることも。我が家では焼き豆腐も入れます」

 

「白みそのお雑煮、おいしそうです。そして、親芋のインパクトがすごいです!お正月といえば、新年を祝う京都の和菓子、花びら餅にも白みそを使いますね!蜜漬けのごぼうと白みそ入りのあんに、最初食べた時はびっくりしましたが、お雑煮に見立てていると聞いて納得しました。そして、八ツ橋先生の名前の由来でもある京都銘菓八ツ橋や、端午の節句の柏餅も、白みそを使った『みそあん』のものがありますね!白みそのコクとほんのりとした塩味が甘さを引き立てて、甘辛スイーツは塩チョコの前から日本で人気だったのだな~と、食べるたびに感心します」

 

「ほかには、田楽、酢みそあえ、魚の西京焼き(みそ漬け焼き)が定番です。シチューの隠し味に使うこともあります」

 

「ベターホームの『和食上級技術の会』の来月3月のメニュー『ほたるいかの酢みそ』で白みそを使います! そして、シチュー!ベターホームのレシピ検索サイトレシピサーチで、『白みそ』で検索してみると、グラタンなど、乳製品と組み合わせたメニューが見つかりました。甘みとコクが、乳製品と合うんですね!」

「甘いので、白みそを使う料理は、砂糖やみりんを控えることが多いです。汁ものに使う時は、薄味にはしないで、濃いまったりしたものに仕上げます。白みそはこうじが多くどろっとしているので、寒い季節の汁物に向きます。白みそを食べたことのない方には、京都へ来て、ぜひ白みそのおいしさを味わっていただきたいです」

「寒~い京都の冬を観光した後に、濃い白みそのお雑煮を食べたら、どんなにおいしいだろうと思います!」

 


ぱせりの京都白みそまとめ

「京都のお正月には欠かせないアイテム。色白、上品、まったり甘い。雅なみそだということがわかりました!」

 

番外編「教えて!地域のみそ」前回までの記事はこちら。
北海道みそ
仙台みそ
江戸甘みそ・江戸みそ
豆みそ



あなたもみそを仕込みませんか

●ベターホームではみそ作りのテキスト、材料、道具を販売しています。詳しくはこちら(これまでの連載の目次も掲載)→

みそ作りの手順を動画でご紹介しています
どんなふうに作るか、流れがよくわかります。

PAGETOP