“低糖質ダイエット”って何?

vol.3 スポーツと糖質の関係

ダイエットや健康のために、運動をしている人はたくさんいることでしょう。アスリートさながらに鍛えている人から、週末に少し体を動かすのが精一杯という人まで、頻度や強度はさまざまですが、いずれにせよ貴重な時間を運動にさくわけですから、より効率を上げたいという思いは同じ。それには食事の内容も重要になってきます。

[ 取材協力 ]
石川三知さん
Office LAC-U 代表。八王子スポーツ整形外科 栄養管理部門。山梨大学スポーツ科
学部非常勤講師。多くのトップアスリートやチームを栄養面からサポートする。

空腹で運動しない
空腹で運動したほうが体が軽く、パフォーマンスが上がりそうな気してしまいますが、むしろ非効率です。体を動かすのに必要なエネルギーが不足すれば、思うように体は動かせません。朝起きてすぐ運動するなら、オレンジジュースやスポーツドリンクなどで糖質と水分を補ってから。昼に運動するなら、朝からしっかり糖質を含むバランスのよい食事を摂る。夜に運動する場合は、昼食からかなり時間があくので、運動の1〜2時間前に軽い食事(バナナ、小さいおにぎりやサンドイッチなど)を食べておきます。

運動後はすみやかにエネルギー補給を
運動後は筋肉が疲労し、傷ついた状態になります。食事により、すみやかに回復を促しましょう。運動後に必要な栄養素として考えられるのは、まずたんぱく質ではないでしょうか。もちろん、運動によって傷ついた筋肉を修復する際、筋肉の素となるたんぱく質の補給は欠かせません。でも、それだけではだめ。エネルギー源となるグリコーゲンを筋肉に蓄えなければなりません。その素になるのが炭水化物(主に糖質)です。
運動直後のからっぽな体に糖質を入れると、みるみる太ってしまいそうですが、それは誤解。運動のあとで摂った糖質は筋グリコーゲンに使われる、すなわち行き先が決まっているので問題ありません。筋肉疲労を回復させておくことで、その後も代謝のよい状態(脂肪が燃えやすい状態)が続きます。逆に、ここで糖質を補給しておかないと、筋肉をはじめとする体の組織がエネルギー回復のために使われてしまい、逆効果です。
また、ひとくちに糖質といっても、種類はさまざま。種類が異なれば、血糖値が上昇するピークのタイミングをずらすことができます。メインとなる米、パン、めん類はもちろん、(大豆以外の)豆類、じゃがいも、にんじん、かぼちゃにも糖質は含まれます。「あれにもこれにも、糖質が入っている」と嘆くのではなく、いくつもの糖質をバランスよく組み合わせて食べることが大切です。

野菜本来がもつ力を借りる
摂取した糖質がエネルギー源として効率よく燃えるには、ビタミンB群とミネラルも必要です。しかし、栄養素の種類をただ挙げられても、なかなかピンと来ないのではないでしょうか。そこで石川さんは「土の下の野菜(主に根菜類。だいこん、にんじん、いも類、ねぎなど)」「葉野菜(青菜類、ブロッコリー、キャベツ、レタスなど)」「野菜の実の部分(トマト、なす、ピーマンなど)」と野菜類を分け、まんべんなく摂ることをすすめています。これならイメージしやすいはず。このほか、種実類(ごま、ナッツ類)、きのこ類、海藻類も、意識的に摂りましょう。
骨も運動をすると筋肉と同様に傷がつきますが、きちんと骨の材料を補給すれば、骨芽細胞により、また新しく作られます。これをくり返すことで、骨は新しく丈夫になるのです。運動後は筋肉や骨の大切な材料であるたんぱく質を、カルシウムやビタミンCとともに補給しましょう。

糖質は使いきれば問題ない
糖質は太る原因になるどころか、運動時にはむしろパフォーマンスを上げ脂肪を燃やす手助けにもなってくれます。「要は糖質を使いきるようにすればいいのです」と石川さん。運動をする人こそ、意識して糖質を摂るようにしましょう。

たとえばこんなメニュー
野菜オムレツサンド

野菜の根・葉・実の部分がすべて入った、栄養バランスのよいオムレツをサンドイッチにしました。野菜でかさが出るから、ボリューム満点。パンで炭水化物を、卵やベーコンでたんぱく質を補えます。

材料
【2人分】
卵…2個
[ A ]
・牛乳…大さじ2
・塩…小さじ1/8
・こしょう…少々

じゃがいも…1/2個(70g)
ほうれんそう…50g

[ B ]
・たまねぎ…30g
・パプリカ(赤)…1/4個(40g)
・ベーコン…20g

バター…15g
食パン(10枚切り)…4枚

作り方(1人分396kcal /塩分2.1g /糖質40.6g)
【1】
じゃがいも1/2個(70g)は薄いいちょう切りにし、耐熱容器に入れてラップをして電子レンジで約2分(500W)加熱する。
【2】
ほうれんそう50gは熱湯でさっとゆで、水にとって、水気をしぼる。2㎝長さに切る。
【3】
B(たまねぎ30g、パプリカ1/4個、ベーコン20g)は7〜8㎜角に切る。
【4】
フライパンにバター5gを溶かし、【2】、【3】を入れて、野菜がややしんなりするまで中火で炒める。塩・こしょう各少々(材料外)をふってとり出し、さます。
【5】
ボールに卵2個をときほぐし、A(牛乳大さじ2、塩小さじ1/8、こしょう少々)、じゃがいも、【4】を順に加えて混ぜる。小さめの卵焼き器かフライパンにバター5gを溶かして卵液の半量を流し入れ、菜箸で大きく混ぜながら半熟にする。裏返し、火が通るまで焼く。同様にもう1個焼く。
【6】
食パン4枚をオーブントースターで軽く焼く。【5】をパンに合わせて切ってはさみ、斜め半分に切る。

※当ページのコンテンツは、「月刊ベターホーム」本誌2017年9月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。

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