ご当地レシピ

<東京都江東区>深川めし

旅行気分を味わえるのがご当地グルメのよいところ。その土地で人気の名物料理を家庭で作りやすいレシピにしてご紹介します。日本のうまいものを食べつくし!

今回はココ!東京都江東区
東京23区の東部に位置。内陸部の深川エリアは、江戸情緒や下町風情が今なお残る。深川江戸資料館では、江戸時代の町並みや暮らしぶりが実物大で再現されている。

江戸時代、この辺りは「深川浦」と呼ばれ、広大な砂州が広がっており、貝類の漁業が盛んに行われていました。その漁師たちが仕事の合間に食べていたまかないめしが、深川めしのルーツだそう。当時は、船上で海水を真水でうすめて沸かし、あさりやねぎ、とうふを煮たすまし汁を冷やしごはんにかけて食べたとも。また、塩ゆでしたあおやぎ(バカ貝)をごはんにのせて食べたとも言われています。その後、みそやしょうゆ仕立ての汁をごはんにかける〈ぶっかけ〉タイプが登場し、屋台や一膳飯屋でも出されるようになったそう。
一方家庭では、弁当として持って行けるようにと、あさりを入れた〈炊きこみ〉タイプの深川めしが広まります。新鮮なあさりが安く手に入る、深川ならではの家庭料理でした。

「深川といえばあさり」だったはずが…
こうして昭和初期のころまでは、あさりと米を使った「深川めし」は深川の至るところに残っていました。しかし、東京湾の埋め立てが進むにつれて水質が悪化し、昭和37年に漁業権を放棄。深川から漁師がいなくなったのを境に、しだいに深川めしは失われていきます。
深川めしが復活する兆しが見え始めたのが1980年代。芭蕉記念館や、深川江戸資料館が相次いで開館し、多くの観光客が深川の地を訪れるようになります。深川めしを提供する店も増え、昔ながらの深川めしに加え、創意工夫をこらした「オリジナル深川めし」を提供する店もあるそう。
今回は〈ぶっかけ〉と〈炊きこみ〉の両タイプの深川めしをご紹介。江戸の下町グルメを味わってみてください。

〈ぶっかけ〉写真右

材料
【2人分】

・あさり*(殻つき・砂抜きずみ)… 300g

[A]
・酒 … 大さじ2
・水 … 大さじ2

・ねぎ … 1/2本(50g)
・しょうが … 小1かけ(5g)

[B]
・あさりの蒸し汁+水 … 計400ml
・みそ … 大さじ1(18g)
・酒 … 大さじ1
・みりん … 大さじ1/2

・温かいごはん … 200g

作り方
【1】
あさりは殻をこすり合わせてよく洗い、水気を切る。鍋に入れてA(酒・水 各大さじ2)を加え、ふたをして強火で2~3分蒸し煮にする。殻が開いたら、汁ごとボールにとり出し、殻から身をはずす。蒸し汁はこす。
【2】
ねぎは斜め薄切り、しょうがは皮をこそげてせん切りにする。
【3】
鍋にB(あさりの蒸し汁+水 計400ml、みそ大さじ1、酒大さじ1、みりん大さじ1/2)を温め、ねぎと半量のしょうがを加える。煮立ったらあさりの身を加え、すぐに火を止める。
【4】
器にごはんを盛り、【3】をかけて、残りのしょうがをのせる。

〈炊き込み〉写真左

材料
【2人分】

・あさり*(殻つき・砂抜きずみ)…300g

[A]
・酒 … 大さじ2
・水 … 大さじ2

・油揚げ … 1/2枚
・三つ葉 … 3本
・米 … 米用カップ1(150g・180ml)

[B]
・あさりの蒸し汁+水 … 計200ml

・しょうゆ … 小さじ1

作り方
【1】
あさりは〈ぶっかけ〉作り方【1】と同様にする。
【2】
米は洗って水気をきり、B(あさりの蒸し汁+水 計200ml)を加えて30分以上浸水させる。
【3】
三つ葉は1cm長さに切る。油揚げは熱湯をかけて油抜きし、縦4等分にして5mm幅に切る。
【4】
【2】に油揚げとしょうゆを加え、炊く。
【5】
炊き上がったらあさりを加え、全体をさっくりと混ぜる。器に盛り、三つ葉をのせる。

*「砂抜きずみ」のものでも30分ほど砂抜きすると安心。貝が半分ひたる程度の量の塩水(水200mlに塩小さじ1の割合)につけ、鍋のふたなどを少しずらしてのせて暗くする。

※当ページのコンテンツは、「月刊ベターホーム」本誌2018年3月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。

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