先生たちの社会科見学

サンファーム

ベターホームの先生たちが教室を飛び出し、さまざまな食の現場を訪ねてレポートします。
見学するのは、札幌教室 奈雲聡子先生(写真左)、熊谷まゆみ先生(写真右)


教えてくれるのは、有限会社サンファーム 代表取締役 間野幸一さん





安心安全と機械化を両輪に持続可能な農業を目指して
新千歳空港から西に約90キロ。羊蹄山(ようていざん)のすそ野に位置する留寿都(るすつ)村で農業を営むサンファームの間野さんに招かれ、実りの季節を迎えた秋の圃場(ほじょう)を訪ねました。高低差の大きな中山間地ながら、東京ドーム約30個分あるという圃場には、羊蹄山から豊かな雪解け水が注ぎこみ、冬の雪が病害虫の繁殖を防ぎます。この地の利を生かして、農薬や化学肥料を極力使用せず、天然由来の肥料や堆肥と「輪作」で地力を養い、安全で生命力あふれる野菜を育てています。

それと同時に、合理化・機械化を進め、省力化にも挑んでいます。その背景には、農家の高齢化と後継者不足があります。「日本の農業は30年前に比べると、耕作面積520万ヘクタール、農業人口482万人から、すでに2割の田畑、7割の人が減少しました。今いる農業従事者も高齢化が進み、農業は衰退の一途です」

間野さんと、同じ危機意識を抱く地元農家の奥田さんが出会い、サンファームを立ち上げたのは1997年のこと。
「最初の5年は開墾と土づくり。耕作放棄地も引き受けたりしながら徐々に農地を広げ、野菜の種類と同時に農業機械を増やしてきました。最初からこの規模ではとても無理でしたね」と、奥田さん。20年を経て、サンファームは総勢50名を数えるまでに成長しました。

いい土からしか、本当においしいものは生まれない。その当たり前が、だんだん難しくなってきている現状を、消費者にも知ってほしいと間野さん。
「野菜を作る僕らと、料理を作る人たち。どちらが欠けても健康な命は保てないのに、ふだんはお互いが見えません。だからお招きしたんですよ」。間野さんの言葉に、料理することの意味を問い直した1日でした。

あずき

羊蹄山の麓まで続くあずき畑。あずき(マメ科)、だいこん(アブラナ科)、アスパラガス(ユリ科)など多品種の農作物に加え、土壌を浄化し土を肥やす作用のある緑肥(エンバク)を用いて5 年の輪作を行い、連作障害を防ぐとともに地力を蓄えている。
「寒さに強い品種です!」

あずきは茎が茶色く枯れたら収穫の合図。日本を代表する品種のエリモショウズは、「1つのサヤに8~10粒の実が入るんだよ」と間野さん。

じゃがいも

お盆過ぎから始まったじゃがいもの収穫は、今が真っ盛り。先生たちもじゃがいもハーベスター(収穫機)に乗りこみ、畑から掘り起こしたじゃがいもの粗選別を体験しました。

ごぼう

ごぼうを人力で引き抜くのはほぼ不可能!思わず尻もち。ごぼうはこれから雪下で冬を越し、4月末に収穫する。

長いも

背より高く伸びているのは長いものつる。長いもも、ごぼう同様に雪下の土中で熟成させ、4月に掘り出す。

だいこん

だいこんは留寿都を代表する作物のひとつ。延々と続くだいこん畑では、だいこんハーベスターが大活躍。最近は、以前にはなかった鹿の獣害が心配の種だそう。

だいこんハーベスターを土中に差しこみ、ベルトでだいこんを挟んでは、ぐんぐん引き抜いていく。1日で4,500~5,000本も収穫できる、効率化の要の農業機械。

野菜ごとにそれぞれ専用のハーベスターが必要。1台1,000万円する農業機械も多く、熟練の整備工による日々の修繕で大切に使い続ける。

だいこんの選果場もあります!

朝採れたてのだいこんが10:30ごろには選果場に到着。すぐに予洗いをして泥を落としてから、割れや傷みのあるものを除き、きれいに洗浄。サイズを揃えて1本丸ごと箱詰めにするか、カットして加工用に。廃棄する部分は粉砕して堆肥に。
その日採ったものは、その日のうちに箱詰めされて冷蔵庫へ。鮮度を保つ秘訣は、野菜の温度を上げないこと!
「さっき採っただいこんが、もうここに!」

「切っただいこんのみずみずしさに、自然の恵みを実感。生産者さんへの感謝の念が深まりました。」奈雲先生(写真左)
「農業の問題に向かい、若者にも魅力ある農業を目指してとり組む様子を学ぶことができました。」熊谷先生(写真右)

収穫した野菜で調理実習@サンファーム
「畑から食卓へ」をテーマに、自分たちで収穫した野菜で調理実習。野菜たっぷりのスープカレー、だいこんを使った副菜2種、ラッシーの4 品を作りました。スープカレーには、かぼちゃ、ごぼう、にんじん、ブロッコリー、かぶの素揚げを。採れたて野菜の味の濃さ、みずみずしさは格別です。副菜2種に使っただいこんのシャキッとした食感も最高でした。先生たちの手料理に「これはうまい!」と舌鼓を打つ間野さんたち。生産者と消費者のコラボレーションを堪能しました。

(上から時計回りに)特産「留寿都豚」を煮込んだスープカレー/だいこんとサーモンのマリネ/カレーのごはんに野菜の素揚げをのせて/だいこんとじゃこのホットサラダ。

 


【Data】
農業生産法人 有限会社サンファーム
北海道虻田郡留寿都村字留寿都200 番地114
TEL:0136-46-3310
http://sunfarm.hokkaido.jp/index.html  ※外部のウェブサイトにつながりますAccess
新千歳空港より、国道36号線を支笏湖方面へ。支笏湖道~国道276号経由、約120分で留寿都村へ。
札幌市内より、国道230号線にて、定山渓~中山峠経由、約90分で留寿都村へ。

Information
耕作面積140ha、栽培作付面積130ha。だいこん、じゃがいも、ごぼう、にんじん、アスパラガス、長いも、あずきなど、1年を通して多品目を生産。

ベターホームでサンファームの野菜の通信販売を始めます!
北海道の大地がはぐくんだ新鮮野菜を、会員の皆さんのご自宅にお届けできるよう、準備中です。どうぞお楽しみに!

※表示の情報は掲載日時点の情報です。掲載した時点以降に変更される場合もありますのであらかじめご了承ください。

撮影/吉村卓也 文/山田恵子

※当ページのコンテンツは、ベターホームのお料理教室の受講生の方のための会報誌「Betterhome Journal」2019年12月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。

ベターホームのお料理教室の受講生向け会報誌「Betterhome Journal」

「おいしいって、しあわせなこと。」をキャッチフレーズに、 料理レシピや食についての情報を掲載しています。2019年12月号の特集は「年末年始の作りおき」。家族や友人たちと集まって食事をすることが多い季節。こんなときこそ、作りおき料理が役立ちます。忘年会を盛り上げる目先の変わったひと皿や、おせちと一緒に並べたい和食など、作っておけば大助かりのメニューをご紹介します。

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