先生たちの社会科見学

藤次郎オープンファクトリー

ベターホームの先生たちが教室を飛び出し、さまざまな食の現場を訪ねてレポートします。
見学するのは、吉祥寺教室(見学当時) 川邊明美先生(写真左)、大宮教室 上原由香先生(写真右)

教えてくれるのは、藤次郎株式会社 代表取締役 藤田 進さん

“切れる包丁”を極める燕(つばめ)三条の職人魂に触れる
金属加工の街として有名な新潟県・燕三条。この地で造られる包丁「藤次郎シリーズ」は、切れ味のよさと良心的な価格で、料理人から家庭の主婦まで幅広いファンがいます。実はベターホームの包丁も藤次郎製。そのご縁で藤田進社長に、包丁造りの工程を間近で見学できる国内屈指の施設「藤次郎オープンファクトリー」を案内してもらいました。
「弊社には、機械生産とハンドメイドのラインがあります。前者は燕地区の高いプレス技術で鋼材から刀身を型抜きして造る〝抜き刃物〞。後者は、三条地区の刀鍛冶(かじ)の伝統技術で造るハンドメイドの〝打ち刃物〞です」

最初に通されたのは、伝統の打ち刃物造りが行われている「ナイフアトリエ」。真っ赤に焼いた鋼をハンマーで叩いて鍛える「鍛造」は、包丁造りの最重要工程です。四角い棒だった鋼が、ハンマーの一振りごとにみるみる刀身へと形を変えていく光景は圧巻です。生まれたての荒々しい姿の刀身は、このあと「研削」や「刃付け」などを行う職人の手を経て、精巧な包丁へと変身していきます。

打ち刃物造り(ハンドメイド)

四角い鋼から刀身の形を造る鍛造の工程。

鍛接

地金(軟鉄)と刃金(ハガネ)を合わせ、炉で1200℃以上に熱する。ハガネが刃に、地金が刃を支える骨組みになる。
砂鉄を接着剤にして、真っ赤に焼いた地金と刃金を、ハンマーで叩いて接合する。

 

鍛造

鍛接したかたまりを、炉で800〜900℃に熱して叩く作業を繰り返し、徐々に刀身を造り上げていく。叩く(鍛える)ことで刀身が硬く頑丈になる。親方でも1日に造れるのは50~60本。現在打てるのは親方のみ。3人が修業中。

狂い取り

鍛造した包丁のゆがみ・ねじれをハンマーで叩いて直す。

 

成形~焼き入れ
刀身を荒とぎして形を整えてから800℃の炉で焼き、水や油で急冷(焼き入れ)。再度150~200℃まで熱してゆっくり空冷(焼き戻し)。これによって刀身に粘りを出す。

すごい迫力!

 

 

 

 

 

 

 

研削

刀身を板にとりつけ、回転する研削機に押し当てて、刀身の厚みを削り落とし、刀身の形状を造り上げる。
「まっすぐかな」

刃付け

表面を磨いて艶出ししたあと、洗浄し、柄を取り付け、一丁一丁銘を彫り(作切り)、荒とぎ・中とぎ・仕上げとぎ・バリ取り(最終仕上げ)の順に段階を踏んで刃を仕上げる。サビ止めを塗る。検品後、包装。(打ち刃物の三徳・牛刀は41,040円~)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完成

打ち刃物も抜き刃物も、家庭用からプロ仕様まで各種とりそろえている。

続いて、抜き刃物の現場へ。大幅に機械化できたのは、打ち刃物の「鍛造」に当たる部分のみで、研磨や磨きの細かな工程は、今も職人が一丁ずつ作業しています。それぞれの工程に親方がいて、熟練の技と勘を若手に伝承しているのだそうです。


抜き刃物造り(機械生産)
プレス・ロール

金属板を包丁の形に抜く。抜き出された包丁にはプレス時のゆがみが生じるため、ローラーを通して矯正する。打ち刃物の「鍛接」から「成型」までを機械化することで量産が可能に。
プレス技術は、燕が“ピカイチ“!

焼き入れ

刀身を並べて吊り下げて高温の窯に送りこみ、出てきたら空気とファンで冷やす。その後低い温度で焼き戻しも行う。熟練の職人が、材質や気温などを見て微妙に温度を変える。

研削

刀身の断面を回転する砥石で削り、くさび形に成型する。一気に削ると摩擦で温度が上がり、焼きが戻ってしまうため、水をかけながら徐々に削る。その後、断面がなだらかなカーブを描くように削る。

溶接~柄磨き

刀身とハンドルの金属部を溶接してとりつけ、刀身のつけ根に当たる「口元」を磨く。刀身の表面に、一定方向に「ヘアライン」という細かい目を入れ、使用中にできるキズを目立ちにくくする(目通し)。洗浄し、刀身にマークを入れ(写真上)、ハンドルをとりつけるなどの工程を経て仕上げていく。

刃付け

最後は職人の手作業により、一丁一丁に刃をつける。「包丁に心を入れる」工程。1日200本が限界。

検品・包装

社内基準の管理下で一丁ずつきめ細かに検品を行い、専任の担当者が包丁の形状に合わせて包装して完了。(抜き刃物の三徳・牛刀は4,800円〜)

 

「検品して完成」ベターホームの包丁は、真ん中の鋼を両側からステンレスで挟む三層構造。

 

 

「目指すのは、食材の持ち味を損なわずにいい仕事をする包丁です。よく切れるのは当たり前。その先の、使いこむほどに手に馴染む相棒にしたいんです」

使いこまれた包丁が修繕に持ちこまれるとうれしくなると語る藤田さん。とぎ直しを教える活動にも力を入れています。「私たちもしっかりといで大事に使います」と心に誓う2人でした。

〈とぎ方をおさらい〉

砥石に対して刃先の角度を10〜15度に保ってとぐ。

先生たちのとぎ方を見てもらい、うまくとげているとお墨つきをもらいました。
包丁のとぎ方は詳しくはこちら

上原先生「目に見えない部分まで丁寧に造っている様子が心に残りました。」(写真左)、川邊先生「よい包丁をいかし、切ることの楽しさを伝えていきたいと思いました。」(写真右)

【Data】
藤次郎オープンファクトリー

新潟県燕市吉田東栄町9-5
TEL:0256-93-4195
営業時間 10:00~17:00
ショップのみ18:00まで営業。
(ただし、12:00~13:00・15:00~15:10は休憩時間。入場・見学は可能)
スタッフによるガイドつき工場見学を希望の場合、要予約。予約先は以下。
<8名未満の場合>
藤次郎オープンファクトリー
TEL:0256-93-4195
<8名以上の場合>
燕市観光協会
TEL:0256-64-7630
Access
JR越後線・弥彦線吉田駅より徒歩13分。
https://tojiro.net/
※外部のウェブサイトにつながります
※表示の情報は掲載日時点の情報です。掲載した時点以降に変更される場合もありますのであらかじめご了承ください。

撮影/鹿又聡恵 文/山田恵子

※当ページのコンテンツは、ベターホームのお料理教室の受講生の方のための会報誌「Betterhome Journal」2019年6月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。

ベターホームのお料理教室の受講生向け会報誌「Betterhome Journal」

「おいしいって、しあわせなこと。」をキャッチフレーズに、 料理レシピや食についての情報を掲載しています。2019年6月号の特集は「夏野菜で作る10分レシピ」。きゅうり、トマト、なすを使った手軽でおいしいレシピを紹介しています。

 

 


【ベターホームオリジナル 包丁】
包丁が料理のできを決める。 切れ味のよさと耐久性が自慢
ステンレス製でもはがねのように切れ味がよい、刃こぼれしにくい、無理な力が加わっても折れない。この3つを実現するために、刃先を薄く鋭利に仕上げた「高炭素ステンレス鋼」の両側を、強度のある「13クロームのステンレス」で、刃先だけを残して包み込みました。この3層構造が包丁の強度を強めてくれます。

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