先生たちの社会科見学

丸藤葡萄酒工業 山梨県甲州市

ベターホームの先生たちが教室を飛び出し、さまざまな食の現場を訪ねてレポートします。

ワイナリーの畑では、1000年以上の歴史がある日本固有種「甲州」が実っていました。甲州ぶどうは、雨の多い日本の気候に適応して皮が厚くなり、近年の猛暑にも強いのだそうです。

見学するのは、渋谷教室 佐藤雅子先生(写真左)、吉祥寺教室 森田三紀先生(写真右)
教えてくれるのは、丸藤葡萄酒工業 代表取締役 大村春夫さん





 

世界水準の国産ワインをリードする老舗(しにせ)ワイナリーへ
日本を代表するワインの産地、山梨県甲州市勝沼町。この地で世界水準のワイン造りに情熱を傾け続けているのが、創業明治23(1890)年の丸藤葡萄酒工業(以下「マルフジ」)です。4代目の大村春夫さんは、タンク内でワインを澱(おり)と接触させてうま味を引き出すシュール・リー製法を日本でいち早く導入するなど、先駆的発想で日本のワイナリーをリードする存在です。

「一度に4トン絞れます」生のぶどうをしぼる圧搾機。白ワインにはしぼった果汁だけを使い、残った皮はぶどう畑の肥料として利用します。

タンクの中で、白ワインは果汁に酵母を加えて18度で3週間、赤ワインは皮や種が付いたまま30度で1週間から10日かけ発酵させます。発酵が終了したら圧搾し、貯蔵タンクまたはオーク樽に移して寝かせます。熟成期間は半年から数年間とワインごとに異なり、その間も定期的に渋み成分のタンニンやポリフェノール、酒石酸(しゅせきさん)などの結晶である澱を取り除きます(シュール・リーは一定期間、澱を引かずにそのまま保存)。澱引きが完了したら瓶詰めし、熟成の度合いを見て出荷されます。

森田先生と佐藤先生がマルフジを訪ねたのは、甲府盆地に広がるぶどう畑の葉が色づき始めた10月の秋晴れの日。美しい白壁の蔵が並ぶワイナリーでは今年のぶどうの収穫がほぼ終わり、日本の固有品種である甲州をはじめ、欧州系のカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネなどさまざまなぶどうを使ったワインが、貯蔵室のタンクや樽(たる)の中で、発酵や熟成などそれぞれの時を過ごしていました。

「ワインをエレガントにするオーク樽!」ヨーロッパから輸入したフレンチオーク製の樽が並ぶ樽貯蔵庫。寒冷地で育つフレンチオークは木目が細かいので蒸発しにくく、バニラのような馥郁(ふくいく)たる樽香(たるこう)をワインに与えます。

かつて直(じか)にワインを貯蔵したコンクリートタンクは今、何万本ものワインが眠る貯蔵室に。ワインの醸造過程で生まれる「酒石」という小さな結晶体が、壁一面にキラキラと星のように輝いていました。

気候の違う日本で、欧州系のぶどうを栽培するのは至難の業(わざ)だそう。マルフジでは、雨よけのビニールを張るなど試行錯誤を重ね、現地と同じ垣根栽培で育てることに成功しました。挑戦と努力を続ける大村さんのお話に感銘を受けながら、二人はマルフジの銘「ルバイヤート」を冠したワインの奥深い味も堪能しました。

「広々として落ち着いた空間で試飲はいかが?」ショップやゲストルームがあるモダンな日本家屋は、大村さんの生家を改装した建物。ブランド名の「ルバイヤート」(四行詩)や詩人・日夏耿之介に関する資料、書籍などを展示。

ルバイヤートの名づけ親・日夏耿之介(ひなつこうのすけ)

「日本の風土が育てたぶどうで造るワインは、日本の料理に合います。ふだんの食事で気どらずに楽しめるワインを造っていきたいですね」と大村さん。地域ブランドとしてGI*指定を受けた「山梨ワイン」は、世界でその名を知られる存在になりつつあります。勝沼の土地に根差し、世界の銘醸(めいじょう)と競えるワインを造ろうと研鑽(けんさん)を続ける醸造家の思いを感じた1日でした。
*GI  地理的表示保護制度  Geographical Indication。限定された生産地域で、一定の基準を満たした方法によって製造されていることを国が保証する表示制度。海外では「ボルドーワイン」や「パルマハム」などが有名。日本のワインとしては「山梨」と「北海道」が指定されている。

ゆっくりとグラスを傾けて香りを嗅ぎます。グラスを少し揺らし、香りの変化も確認。
「レモンイエローの美しい白ですね」目の高さに持ち上げ、光にかざして色を確認。

ひと口、ふた口とゆっくり口に含み、香りや味わいを確かめます。

甲州の白ワイン!
右・ルバイヤート甲州樽貯蔵(白・辛口)2,484円。グラタンや塩味の焼きとりなど火を通した料理に。
左・ルバイヤート甲州シュール・リー(白・辛口)1,944円。刺身やほたて、いかなどのカルパッチョに。(すべて税込)
※表示の価格や内容量等は掲載日時点の情報です。掲載した時点以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。


森田先生「日本のワインといろいろな和食のマリアージュを試してみたくなりました。」(写真右)、佐藤先生「私たちのすぐそばで造られている日本ワインの魅力を再発見できました」(写真左)

【Data】
丸藤葡萄酒工業株式会社

山梨県甲州市勝沼町藤井780
TEL:0553-44-0043
Access
【車の場合】中央自動車道 勝沼インターチェンジより約5 分。
【電車の場合】JR中央本線 勝沼ぶどう郷駅よりタクシーで約10分、JR中央本線塩山駅よりタクシーで約15分。
http://www.rubaiyat.jp/
※外部のウェブサイトにつながります
Information

毎日午前10時30分と午後2時に見学ツアーを実施(10名以上の場合は事前連絡が必要)。見学は無料。ショップでは購入、試飲ができる。試飲は5 種類で500 円~。

撮影/鹿又聡恵 文/丸山こずえ

※当ページのコンテンツは、ベターホームのお料理教室の受講生の方のための会報誌「Betterhome Journal」2018年12月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。

2018年11月新創刊!「Betterhome Journal」

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